天ぷらの技術と品質への評価

ダイアの55の天ぷらは、その独特な食感で他店との差別化に成功している。「カリッサクッ」という擬音で表現される衣の仕上がりは、外側のカリッとした食感と内側のサクサク感の絶妙なバランスによるもの。油の管理が徹底されており、こまめな入れ替えによって常に新鮮な状態を保っているため、揚げ物特有の重さを感じさせない軽やかな仕上がりとなっている。特筆すべきは天つゆの評価で、「出汁が効いていて最高」という声が多く、天ぷらを引き立てる名脇役として機能している。

希少日本酒コレクションの圧倒的な魅力

常時約50種類という日本酒のラインナップは、札幌でも屈指の品揃え。特に「十四代」「而今」「飛露喜」といった入手困難な銘柄を常時複数種類揃えている点は、日本酒愛好家にとって大きな魅力となっている。店主自身が実際に試飲して厳選した銘柄のみを仕入れているため、品質の保証はもちろん、客の好みに応じた的確なアドバイスも期待できる。季節限定酒も積極的に取り入れており、訪れるたびに新しい発見があるという声も多い。

独創的メニューの開発力

看板メニューの「十勝牛ザブトンの天ぷら」は、肉を天ぷらにするという斬新な発想で話題を呼んでいる。北海道産の上質な牛肉の旨味を、天ぷらの衣で閉じ込めることで、ジューシーさとサクサク感の両立を実現。また、季節の食材を使った限定メニューも充実しており、北海道産にこだわらず全国から厳選した食材を使用する姿勢が、料理の質を高めている。

カジュアルな雰囲気と本格的な料理の融合

2014年のオープン以来、天ぷら専門店の敷居の高さを払拭し、カジュアルに楽しめる空間づくりに成功。カウンター席では職人の技を間近で見られ、料理人との会話も楽しめる。一人客でも気軽に立ち寄れる雰囲気作りは、すすきのという立地を活かした戦略として機能している。明るく気取らない店内は、デートから接待まで幅広いシーンに対応可能。

価格設定とコストパフォーマンス

平均予算5,000円～5,999円という価格帯は、提供される料理と日本酒の質を考慮すると妥当なライン。特に希少日本酒が550円からという価格設定は、すすきのエリアの相場を考えると非常に良心的。天ぷら単品も275円からと手頃で、予算に応じて楽しめる配慮がなされている。飲み放題1,980円という価格も、120分という時間設定を考えれば十分なコストパフォーマンスといえる。

深夜営業という強み

月・火・水・金・土は深夜3時まで営業という点は、すすきのという立地を最大限に活かした営業戦略。一次会後の二次会、三次会としての利用も可能で、深夜でも質の高い天ぷらと日本酒を楽しめる貴重な存在となっている。ただし、木・日・祝日は23時閉店となるため、曜日による営業時間の違いには注意が必要。

アクセスの良さと立地の優位性

すすきの駅から徒歩5-6分、資生館小学校前駅から徒歩3分という立地は、飲み歩きの一軒としても利用しやすい。札幌の繁華街の中心部にありながら、落ち着いた雰囲気で食事を楽しめる環境は貴重。20席という規模も、混雑しすぎず適度な賑わいを保つのに最適なサイズ感となっている。

改善の余地と今後の期待

全席喫煙可という点は、時代の流れを考えると改善の余地があるかもしれない。また、電子マネーやQRコード決済に対応していない点も、キャッシュレス化が進む中では不便に感じる客もいるだろう。駐車場がない点も、車での来店を考える客には不便だが、すすきのという立地を考えれば大きな問題ではない。

総評：札幌の隠れた名店として

ダイアの55は、本格的な天ぷらと希少な日本酒を、カジュアルな雰囲気で楽しめる貴重な店舗だ。天ぷら専門店の技術力と居酒屋の気軽さを併せ持ち、独自のポジションを確立している。特に日本酒のラインナップは札幌でもトップクラスで、日本酒好きには必訪の店といえるだろう。すすきのという立地を活かした深夜営業も魅力的で、様々なシーンで利用できる柔軟性を持つ。価格設定も質を考えれば妥当で、むしろリーズナブルと感じる客も多い。2014年のオープンから10年以上経過した今も、常に進化を続ける姿勢が感じられ、今後のさらなる発展が期待される一軒である。