海鮮丼 カッテニシヤガレは、2023年7月に札幌中央卸売場外市場の万歳市場2階にオープンした、コストパフォーマンスに特化した海鮮丼専門店として評価できる。圧倒的な価格競争力を武器に、場外市場内でも2割程度安い価格設定を実現。看板メニューの「カッテニシヤガレ丼」は1,680円という手頃な価格で、マグロ、サーモン、白身、鯛、ホタテ、タコといった6種類のネタを各2〜3切れずつ提供し、量的にも満足度が高い構成となっている。

最大の特徴は自由度の高い食べ方だ。魚型の皿に盛られた刺身を、客が自分の好みでご飯に乗せるというスタイルは、刺身定食としても海鮮丼としても楽しめる柔軟性がある。この店名通りの「勝手にしやがれ」というコンセプトは、単なる遊び心だけでなく、客それぞれの食べ方の好みに対応できる実用的なメリットも生み出している。

品質面では、「トッピング」レベルではないものの十分な鮮度を保っており、価格を考慮すれば十二分に合格点。特に場外市場という立地を活かした仕入れルートが、この価格帯での品質維持を可能にしている要因と推察される。ただし、ご飯の炊き加減については硬めと柔らかめの評価が分かれており、訪問タイミングによるばらつきが存在する可能性が示唆されている。

柔軟な対応力も評価に値する点だ。メニュー外のカニ丼を特別に作ってくれたり、ウニの追加トッピングが可能だったりと、客の要望に応じた柔軟性を持つ。さらにInstagram投稿で200円引きという現代的なプロモーション戦略も、若年層の取り込みに成功している証左といえよう。

立地と営業時間の設定は賛否両論だ。万歳市場2階という位置は、細く急な階段を上る必要があり、高齢者や身体の不自由な方にはアクセスの障壁となる。ただしこれが結果的に、混雑を避けた穴場的な雰囲気を生み出している側面もある。8:00〜14:00という営業時間は、朝食や早めの昼食、市場見学との組み合わせには最適で、朝から昼飲みができる点も観光客には魅力的。

改善が望まれるのは決済手段の多様化だ。現金のみという支払い方法は、キャッシュレス化が進む現代において利便性の面で遅れている。また、簡素な内装は価格を抑えるための戦略的選択として理解できるが、より快適な座席や雰囲気作りへの投資も、今後の成長には必要かもしれない。

総括すると、海鮮丼 カッテニシヤガレは、高級志向ではなく実用性とコストパフォーマンスを重視する客層に最適化された店舗といえる。観光客、学生、若年層など、「安くて美味しい」を求める層には強く推奨できる一方、高級感や特別な体験を求める客には物足りなさを感じさせる可能性がある。オープンから日が浅いながらも明確なポジショニングに成功しており、今後の認知度向上と共に、早めの訪問が混雑を避ける賢明な選択となるだろう。