【評価スコア：3.6/5.0】円山エリアに誕生した期待の新星

2025年5月にオープンした「すし あお」は、札幌円山公園エリアに新たな風を吹き込む注目の江戸前寿司店だ。カウンター8席のみという贅沢な空間設計と、異色の経歴を持つ店主による独創的なアプローチが融合し、従来の寿司店とは一線を画す体験を提供している。

料理の質と技術の評価（4.0/5.0）

赤酢のシャリと丁寧な熟成技法を基盤とした江戸前鮨は、伝統を尊重しながらも新しさを感じさせる仕上がり。全国から厳選された食材の使用は評価に値し、特に能登の本マグロ、福岡の玄ちゃんアジ、北海道産のウニなど、産地を明確にした仕入れは信頼性を高めている。前菜の「道産とうもろこしのすり流しに積丹塩水ウニ」や「蒸し蝦夷鮑の肝ソース」といった創作料理は、北海道の食材を活かした独自性が光る。ただし、開店間もないため評価は暫定的で、今後の安定性と進化に期待したい。

サービスと雰囲気（3.5/5.0）

完全予約制という体制により、一組一組に対する丁寧なサービスが期待できる環境を整備。和モダンな内装とカウンター8席という親密な空間は、寿司職人との会話を楽しみながら食事ができる理想的な設計となっている。円山公園駅から徒歩3分という好立地も、アクセスの良さとして高評価。ただし、開店からの実績がまだ浅いため、サービスの質については継続的な検証が必要だろう。

コストパフォーマンス（3.0/5.0）

ディナー予算15,000円～19,999円という価格設定は、円山エリアの高級寿司店としては標準的な水準。17品のおまかせコースでこの価格帯は、全国から厳選した食材の使用を考慮すれば妥当な設定と言える。ただし、近隣のミシュラン星獲得店などと比較すると、やや割高感は否めない。今後、リピーター獲得のためには、価格に見合った付加価値の提供が重要となるはずだ。

独自性と差別化要素

異色の経歴を持つ店主という点は、従来の寿司職人とは異なる視点や感性を料理に反映させる可能性を秘めている。「からすみ餅」や「レモン豆乳シャーベットと酒粕」といった創作料理は、江戸前寿司の枠を超えた挑戦的な試みとして注目に値する。温度や食感、味の変化を意識したコース構成も、食事をエンターテインメントとして楽しませる工夫が感じられる。

利用シーンと汎用性

カウンター8席のみという構成は、デート、ビジネス接待、記念日、一人寿司など、多様なシーンに対応可能。貸切対応（7-9名）も可能なため、小規模な会食にも適している。全席禁煙、英語対応スタッフの在籍など、現代のニーズに対応した設備・サービスも評価できる。

今後の課題と期待

開店から数ヶ月という新しい店舗のため、安定した品質の維持と、リピーター獲得が今後の課題となる。円山エリアには「鮨菜 和喜智」や「すし善 本店」といった名店が存在するため、これらとの差別化をいかに図るかが成功の鍵を握るだろう。季節ごとのメニュー更新や、北海道ならではの食材活用など、独自性をさらに打ち出すことで、確固たる地位を築くことが期待される。

総合的な結論

「すし あお」は、確かな技術、厳選された食材、独創的な発想、心地よい空間という4つの要素を兼ね備えた、期待値の高い寿司店として評価できる。開店間もないゆえの不確定要素はあるものの、異色の経歴を持つ店主による独自の視点と、江戸前鮨の伝統技法の融合は、今後の成長次第で円山エリアの新たな名店となる可能性を十分に秘めている。特別な日のディナーや、本格的な江戸前寿司を楽しみたい方には、ぜひ一度訪れていただきたい店舗だ。ただし完全予約制のため、事前の予約は必須となる。