かね善は、札幌を代表する高級寿司店「すし善本店」で50年以上の経験を積んだ大金有三氏が、2020年に独立開業した本格江戸前寿司店だ。円山という高級住宅街に位置し、カウンター9席のみという親密な空間で、職人の技を間近で堪能できる。

料理の特徴と評価

江戸前の伝統的な技法を守りながら、北海道の新鮮な魚介類を活かした独自のスタイルを確立している。特に北海道を代表する毛蟹、雲丹、イクラなどの高級食材の扱いには定評があり、その鮮度と味わいは他店と一線を画す。シャリは酢・塩ともに控えめで、素材の繊細な味わいを引き立てる仕上がりとなっている。

サービスと雰囲気

大金氏の柔らかい雰囲気の中に隠しきれない貫禄があり、50年以上の経験に裏打ちされた確かな技術と心のこもった接客が高く評価されている。白木のカウンターが清々しく、広々とした座席配置により、落ち着いた大人のための寿司体験を提供。料理以外の店内撮影が禁止されているのも、料理への真摯な姿勢の表れだろう。

価格とコストパフォーマンス

ランチ5,000円台、ディナー10,000～14,999円という価格設定は、職人の技術と素材の質を考えれば十分に納得できる範囲。特にランチ営業を行っている点は、本格寿司店としては貴重で、気軽に高級寿司を楽しめる機会として多くの支持を集めている。

立地とアクセス

円山公園駅から徒歩約6-7分、すし善本店からも近い立地は、寿司愛好家にとって訪れやすい環境。ただし専用駐車場がないため、車での来店時は近隣のコインパーキング利用が必要となる。

今後の展望

開業から4年、着実に評価を高めているかね善。すし善の系譜という強みを活かしながら、大金氏独自の解釈を加えた寿司は、円山の寿司激戦区において確固たる地位を築きつつある。カウンター9席という限られた座席数ゆえ予約は必須だが、その価値は十分にある店といえるだろう。本格的な江戸前寿司を、落ち着いた雰囲気の中で堪能したい方には、ぜひおすすめしたい一店である。