移転による立地改善と新たな顧客層の獲得

あやんちは2024年8月28日に札幌市白石区東札幌から中央区大通西25丁目に移転し、この立地変更が店舗運営に大きな変化をもたらしている。円山公園駅5番出口から徒歩わずか1〜2分という抜群のアクセスにより、従来の地域密着型から観光客や仕事帰りの利用者まで幅広い客層を取り込むことに成功。移転前は「6丁目のあやんち」という店名だったが、現在は単に「あやんち」となり、より覚えやすく親しみやすいネーミングへと変更された。

韓国家庭料理に特化した独自のポジション

多くの韓国料理店が焼肉中心の業態を取る中、あやんちは韓国の食堂メニューに特化することで差別化を図っている。スンドゥブ（純豆腐）、ビビンバ、チヂミなどの家庭的な韓国料理を中心とし、特に「済州島式スンドゥブ」は本格的な味わいで高い評価を獲得。北海道らしい「ヤンニョムザンギ」は韓国の調味料とローカル料理を組み合わせた創作メニューとして人気を博している。

一人客に優しい店舗設計と運営方針

カウンター4席を含む約20席の店内は、一人客でも気軽に利用できる雰囲気作りが徹底されている。QRコード注文システムの導入により、注文時の気遣いを軽減し、より快適な一人食事を可能にしている。ただし、年配の客に対しては従来通りの対面注文にも柔軟に対応しており、幅広い年齢層への配慮が見受けられる。

ランチとディナーの明確な時間設定

営業時間はランチ11:30〜14:00（L.O.13:30）、ディナー17:00〜21:00（L.O.20:00）と明確に区分されており、特にランチタイムの終了時間の厳格さは複数のレビューで言及されている。「13時32分に行ったらクローズしていた」という体験談も見られ、時間管理の徹底ぶりが伺える。テイクアウトのラストオーダーはさらに15分早く設定されており、厨房作業の効率化を図っている。

価格設定とコストパフォーマンス

ランチメニューは1,000円台中心の設定で、特に人気の「ヤンニョムザンギセット」¥1,300はコストパフォーマンスの良さで評価されている。済州島式スンドゥブ+黒豆ご飯セット¥1,560など、本格的な韓国料理としては手頃な価格設定により、日常使いしやすい店舗として定着しつつある。ディナーでは単品料理も充実し、2,000円台で十分満足できる内容となっている。

季節食材と北海道らしさの融合

メニューには北海道らしい要素が随所に取り入れられており、ハスカップジュース、札幌クラシック生ビール、そして看板メニューのザンギなど、地域性を活かした韓国料理を提供している。これにより観光客にとっても北海道らしさを感じられる韓国料理店として独自の価値を提供している。

サービスの質と店舗の課題

スタッフの対応は概ね良好で、QRコード注文に不慣れな客への配慮も見られる。ただし、定休日が「日曜・月曜」とされているものの「まだ固定していない」状況で、Instagramでの確認が推奨されている点は改善の余地がある。また、移転により店舗は大きくなったとされるが、約20席という規模は人気に対してやや小さく、混雑時の対応が課題となる可能性も指摘される。

総合評価と今後の展望

あやんちは立地の良さ、本格的な韓国家庭料理、一人客への配慮、手頃な価格設定という4つの強みを軸に、札幌の韓国料理シーンで独自のポジションを確立しつつある。移転による新しい立地での営業も軌道に乗り始めており、今後は営業時間や定休日の安定化、キャパシティ拡大への対応が成長の鍵となるだろう。円山公園エリアという文化的な立地を活かし、地域に根ざした韓国家庭料理店として更なる発展が期待される。