デザイナーが創り出す非日常空間

Café Cendrillonは、2024年2月にオープンした札幌円山エリアの新しいカフェだ。最大の特徴は、デザイナーオーナーによる徹底的にこだわり抜かれた空間設計にある。漆喰塗りの壁、アンティーク家具、ドライフラワーの装飾が織りなす空間は、まさに「非日常的な不思議な世界」。足を伸ばしてゆったり座れるソファ席では、ジャズBGMに包まれながら時間を忘れて過ごせる。昼間は明るく開放的、夕方になるとロマンティックなムードへと変化する演出も見事だ。

限定メニューが生む特別感

15分じっくり焼き上げるフレンチトーストは、外はサクッと中はしっとりとした絶妙な食感が人気。キャラメリゼされたバナナ、焼きバナナと生クリーム、キャラメルソースで味の変化を楽しめる構成が秀逸だ。タイ風のサンドリヨン・カレーは、ココナッツミルクのまろやかさとスパイスのバランスが絶妙。これらが「限定5食」というシステムにより、希少性と品質の両立を実現している。

スペシャリティコーヒーへのこだわり

宮の森アルケミストコーヒー焙煎の豆を使用したスペシャリティコーヒーは、珈琲好きを唸らせる本格派。浅煎り、中煎り、深煎りから選べる3種類の焙煎度により、その日の気分に合わせた一杯を楽しめる。人気No.1のマンゴースムージーは、マンゴーに人参やパプリカを組み合わせた「甘いだけじゃない新感覚」が特徴だ。

CBDという新しい体験

カフェとしては珍しいCBDオプション（+300円）は、リラクゼーションサロン併設という特性を活かした独自のサービス。麻炭コーヒーやCBDクッキーなど、健康とリラックスを重視したメニュー構成は他店との明確な差別化要素となっている。店内にはCBD関連グッズや書籍も販売されており、待ち時間も退屈せず過ごせる工夫がなされている。

価格設定と価値のバランス

平均予算2,000〜3,000円という価格帯は、札幌のカフェとしてはやや高めの設定。しかし、道産和牛使用のラザーニャ、15分焼き上げのフレンチトースト、本格的なスペシャリティコーヒー、そして何より非日常的な空間体験を総合的に考えれば、特別な時間を過ごすための投資として納得できる価格だろう。

利用シーンの多様性

デート、女子会、一人時間、記念日ランチなど、様々なシーンに対応できる汎用性の高さも魅力。ただし席数10席という限られたキャパシティと週4日営業（木〜日）という制約により、予約は必須となる。特に人気のフレンチトースト目当てなら、開店11時に合わせた予約が賢明だ。

アクセスと駐車場

円山公園駅から徒歩13分という立地は、駅から少し離れた静かなエリア。西友旭丘店の隣という分かりやすい目印があり、黒い大きなビルの外観も認識しやすい。駐車場は軽自動車1台分のみだが、近隣のコインパーキング（入庫後2時間無料）が利用可能なため、車での来店も現実的な選択肢となる。

総合評価：4.0点

Café Cendrillonは、デザイナーの美的センスとホテルシェフの料理技術、そしてCBDなど健康志向のサービスが融合した独特の世界観を持つカフェだ。限定5食メニューや少ない席数は利用のハードルを上げているが、それらの制約こそが「特別感」を生み出している。予算は一般的なカフェより高めだが、非日常的な空間と質の高い料理を考えれば、十分納得できる価格設定といえる。札幌円山エリアで特別な時間を過ごしたい時、一度は訪れる価値のあるカフェだ。