評価スコア：4.5/5.0

クロックは、札幌を代表する欧風カレー専門店として、30年以上にわたり圧倒的な支持を集め続けている。カレー百名店に連続選出されるその実力は、「家庭では決して再現できない深みとコク」を持つ濃厚ルーにこそ宿っている。特に看板メニューのチーズオムレツカレーは、トロトロのチーズが溶け出す瞬間の感動を多くの客に届けてきた。不便な立地というハンディを物ともせず連日満席となる集客力は、味へのこだわりと揺るぎない品質の証だろう。

唯一無二の濃厚ルーが紡ぐ物語

たっぷりの野菜とフルーツをピューレ状に煮込んだクロックのカレールーは、まさに「濃厚」の一言に尽きる。玉ねぎの甘みが効いたフルーティーな味わいは、スパイシーさとのバランスが絶妙で、一度食べたら忘れられない味わいへと昇華している。辛さは甘口から激辛まで選択できるが、激辛でも他店の普通程度という声もあり、辛さより旨みを重視した設計だ。この「どろっ」としたテクスチャーは、じっくりと時間をかけて煮込まれた証であり、30年以上磨き上げられてきた技術の結晶といえよう。

チーズオムレツという革命

「クロックに来たらチーズオムレツを食べなければならない」という脅迫観念さえ生む看板メニューは、きれいなオムレツの中にたっぷりのチーズを閉じ込めた逸品だ。ナイフを入れた瞬間にトロッと流れ出すチーズの光景は、SNS時代の今も変わらぬ感動を提供している。濃厚なルーカレーとチーズの組み合わせは、マイルドさと深みを両立させ、カレー愛好家のみならず幅広い層を魅了し続けている。ビーフチーズカレーが一番人気という事実が、この組み合わせの完成度の高さを物語っているだろう。

独創的な提供スタイルが生む自由度

ライスの上にメインの具材を乗せた皿と、カレールーが別容器で提供されるスタイルは、クロックならではの工夫だ。この方式により、自分好みの量でルーをかけられ、トッピングの組み合わせも自在。「骨付きチキン＋スペアリブ」といった肉好きにはたまらないカスタマイズも可能で、食べる楽しみが何倍にも膨らむ。通常サイズでも他店の大盛りに相当するボリュームは、小食の方には事前の調整をおすすめするが、コストパフォーマンスの観点からは大きな魅力となっている。

カフェとしての一面が生む居心地

大きなガラス窓から差し込む自然光、明るくカジュアルな店内、そして食後のコーヒー――クロックはカレー店でありながらカフェとしての顔も持つ。混雑時でも変わらぬ丁寧な接客は、「食べ終わったらすぐ帰らなければ」という罪悪感を感じさせない。ホットコーヒーが濃厚カレーの余韻を心地よく締めくくる瞬間は、クロック体験の大切な要素といえるだろう。カウンター席の存在により一人客も気兼ねなく訪れられ、デートから家族連れまで幅広く受け入れる懐の深さを持っている。

立地のハンディを超える圧倒的な味

円山公園駅から徒歩30分という立地は、決してアクセスが良いとはいえない。それでも連日満席、駐車場は常に満車という状況が続くのは、味の力以外の何物でもない。車でのアクセスが推奨されるが、レンタサイクルを活用したり、円山動物園や大倉山ジャンプ競技場とセットで訪問したりと、訪れる価値を見出す工夫をする客が後を絶たないのだ。

20年以上通い続けるファンが証明する価値

「一度食べたらクセになる」「20年以上通い続けている」という熱烈なファンの存在が、クロックの真価を証明している。スープカレー文化が強い札幌において、ルーカレーの魅力を最大限に引き出し続けてきた功績は計り知れない。予約不可という方針も、すべての客を平等に迎えたいという姿勢の表れだろう。時間に余裕を持って訪れ、少し待つことさえも楽しみに変える――そんな店との向き合い方を知る常連客たちが、クロックの文化を支えているのだ。

札幌カレー界の聖地として

クロックは単なるカレー店ではなく、札幌のカレー文化を語る上で欠かせない存在へと成長した。カレー百名店への連続選出、SNSでの話題性、そして何より変わらぬ味へのこだわり――これらすべてが相まって、「札幌でナンバーワンのルーカレー」という評価を確固たるものにしている。道外からの観光客にも自信を持って勧められる、札幌が誇るべき名店なのだ。