函館名物の象徴としての確立

ハセガワストア ベイエリア店は、函館を代表するご当地グルメの発信地として、地元民と観光客双方から絶大な支持を獲得。1978年誕生の「やきとり弁当」は、鶏肉ではなく豚肉を使用する道南地方独自の食文化を体現した商品として全国的な知名度を確立した。特筆すべきは、函館出身バンドGLAYやYUKIなどの著名人がメディアで紹介したことにより、その認知度が全国区へと飛躍的に拡大した点だろう。店内に設けられたGLAYコーナーは、ファンにとって聖地巡礼の対象となり、食事以外の付加価値をも提供している。

「豚串=やきとり」という独自の食文化

初めて訪れる観光客の多くが驚くのが、「やきとり」という名称でありながら使用されているのは豚肉であるという事実。これは道南地方における歴史的背景に根ざした食文化であり、昭和初期には鶏肉よりも安価に入手できた豚肉が「やきとり」と呼ばれるようになったという経緯がある。北海道の厳しい自然環境で働く人々にとって、豚肉に豊富に含まれるビタミンB1が疲労回復に有効であったことも、この食文化が定着した要因のひとつとされている。室蘭やきとりと並び、この地域独特の呼称は今や道南を代表する食文化として確固たる地位を築き上げているといえよう。

注文を受けてから焼く「出来立て」へのこだわり

ハセガワストアの最大の強みは、注文を受けてから店内で焼き上げるという徹底した「出来立て」へのこだわりだ。各店舗には専用の焼き台が設けられ、注文後約5〜10分で焼きたての熱々やきとりが提供される。直火の焼き台で丁寧に焼き上げられたやきとりは、専門店にも引けを取らない味わいを実現している。さらに特筆すべきは、肉を焼く際に函館ワインを霧吹きでかけるという独自の工夫。これにより肉が柔らかくなり、味わいもまろやかになるという効果が生まれている。こうした細部へのこだわりが、コンビニエンスストアという業態でありながら高品質な料理を提供できる秘訣となっているのは明らかだろう。

5種類の味付けと豊富なメニューバリエーション

元祖の「たれ」味から始まり、現在では「塩」「塩だれ」「うま辛だれ」「みそだれ」の5種類の味付けが選択可能となっている。香ばしくてほんのり甘いタレの香りが食欲をそそる元祖「たれ」味は、初心者に特におすすめされる定番中の定番。地元民による評価では「タレ味こそが原理原則」との声が多数を占めており、まず最初に試すべき味として確固たる地位を確立している。一方で、あっさりとした「塩」味も肉本来の旨味を堪能できる選択肢として根強い人気を誇る。さらに月替わりで登場する「季節のやきとり弁当」は、リピーターの楽しみとなっており、新しい味との出会いを提供し続けている。

価格設定と圧倒的なコストパフォーマンス

やきとり弁当の価格は、ミニ¥460から大¥810まで、ご飯の量と串の本数に応じて選択可能。最も人気の高い「小」サイズは¥570というリーズナブルな価格設定でありながら、ご飯200gと豚串3本という十分なボリュームを提供している。「中」サイズでは野菜串が1本追加され、より栄養バランスを意識した構成に。「大」サイズは食べ盛りの学生やスポーツ合宿での利用にも対応できるボリュームを誇る。レビューでは「コスパがgood」「リーズナブル」という評価が圧倒的多数を占めており、価格と品質のバランスが高く評価されていることは疑いの余地がない。

観光地としての立地の優位性

ベイエリア店の最大の強みは、金森赤レンガ倉庫群から徒歩わずか数十秒という抜群の立地条件だ。函館を代表する観光スポットのすぐ隣に位置し、ラッキーピエロ ベイエリア本店とも隣接しているため、観光客が非常にアクセスしやすい環境が整っている。八幡坂などがある元町エリアからも近く、観光の合間に気軽に立ち寄れる点が高く評価されている。JR函館駅からは徒歩約20分、市電「十字街」電停からは徒歩3分という距離も、観光客にとって利便性の高さを示す指標となっているだろう。

イートインスペースの充実

約40席のイートインスペースを完備しており、焼きたてをその場で味わえるという大きなメリットを提供している。特にベイエリア店では酒類も取り扱っているため、「やきとりで一杯」という使い方も可能だ。コンビニでありながらこうした飲食スペースを提供することで、単なる弁当のテイクアウトにとどまらない、飲食店的な利用価値を生み出している点は特筆に値する。店内には串が焼かれる香ばしい香りが漂い、出来上がりを待つ時間さえも楽しい体験となっているとの声が多数上がっている。

容器の工夫と食べやすさ

やきとり弁当の容器には、串を置くための溝が設けられているという細やかな配慮がなされている。この設計により、串を抜いた後も容器内で串を安定して置くことができ、食べやすさが大幅に向上している。また、弁当容器のデザイン自体も「可愛い」「持って帰りたくなる」という声が上がるほど評価が高く、機能性とデザイン性を両立させた成功例といえるだろう。こうした細部へのこだわりが、全体的な満足度向上に寄与していることは間違いない。

注文システムの特徴と課題

注文方法は、店内に用意された注文書に記入してレジで会計を済ませるというシステムを採用している。電話注文やアプリ注文にも対応しており、受取希望時間の1時間前までに連絡すれば、待ち時間なくスムーズに受け取ることが可能だ。一方で、「初心者にとって注文の仕方が分かりづらい」という指摘も複数のレビューで見受けられる。システムに不慣れな観光客は、店内で「ひたすら待ってしまう」という状況に陥ることもあるようだ。この点については、より分かりやすい案内表示の設置など、改善の余地があるといえるかもしれない。

混雑状況と待ち時間

観光シーズン、特にゴールデンウィークなどの繁忙期には、30分以上の待ち時間が発生することも珍しくない。通常時でも7〜15分程度の待ち時間は覚悟する必要があるだろう。注文殺到による早じまい（通常21:45のラストオーダーより早く終了）も発生することがあるため、確実に購入したい場合は早めの時間帯に訪れることが推奨される。ただし、こうした混雑こそが人気の証であり、多くの客が「待つ価値がある」と評価している点は見逃せない。

単品メニューと地元民のおすすめ

やきとり弁当以外にも、やきとりの単品販売が充実している点も見逃せない。豚精肉、豚カルビ、豚かしら、豚タン、豚レバー、豚チーズ、ニンニクとりもも、野菜串など、バリエーション豊かなラインナップが揃っている。35年以上やきとり弁当を愛食し続けているという地元民の証言によれば、「ニンニクとりもも串」と「豚かしら」が特におすすめとのこと。こうした単品串は、おかずが足りない時やおつまみとして、弁当とは別の利用シーンで重宝されているようだ。

セイコーマートとの提携による相乗効果

2004年に北海道のコンビニチェーン・セイコーマートと資本業務提携を結んだことで、ペコマカード（セイコーマートクラブカード）がハセガワストアでも利用可能となり、ポイントが貯められるようになった。また、セイコーマートのプライベートブランド商品も取り扱うようになり、商品ラインナップの充実が図られている。この提携は、地域密着型のコンビニチェーン同士が協力し合うことで、より強固な経営基盤を構築する成功例として注目に値するだろう。

グッズ展開とお土産需要への対応

やきとり弁当をモチーフにしたオリジナルグッズの展開も、ハセガワストアの特徴的な取り組みのひとつだ。Tシャツをはじめとする各種グッズが販売されており、やきとり弁当への愛着を形にして持ち帰ることができる。さらにベイエリア店では函館の有名みやげ品コーナーも充実しており、観光客のワンストップショッピングニーズに応えている。2024年現在、やきとり弁当は冷凍商品としても販売されており、ふるさと納税の返礼品にも採用されているなど、函館を離れても味わえる仕組みが整備されつつある点は特筆に値する。

改善の余地がある点

多くの肯定的評価がある一方で、いくつかの改善点も指摘されている。「時間が経つと硬くなる」という声があり、できるだけ出来立てを食べることが推奨される。また、「注文システムがわかりづらい」という指摘は複数のレビューで繰り返されており、特に初訪問の観光客にとっては改善が望まれる点だろう。さらに、人気メニューが早じまいで品切れになることもあるため、確実に購入したい場合は早めの時間帯に訪れる必要がある点も念頭に置くべきだ。

総合評価

ハセガワストア ベイエリア店は、函館を代表するご当地グルメの発信地として、その地位を確固たるものとしている。豚肉を使用した「やきとり」という道南独自の食文化を体現し、注文を受けてから焼き上げる出来立てへのこだわり、リーズナブルな価格設定と高いコストパフォーマンス、観光地中心部という抜群の立地条件、そして充実したイートインスペース。これらの要素が複合的に作用し、地元民と観光客双方から高い支持を獲得することに成功した。注文システムの分かりづらさや混雑時の待ち時間といった課題はあるものの、それを補って余りある魅力が詰まった店舗であることは疑いの余地がない。函館を訪れた際には、必ず立ち寄るべき店として強く推奨できるだろう。