店舗の歴史と店主の経歴

河はら家は2021年7月に開業し、2023年7月に現在の場所へ移転リニューアルした比較的新しい日本料理店だ。しかし、その実力は確かなものがある。店主の河原正太氏は札幌の名門ホテル「プレミアホテル-TSUBAKI-札幌」内の日本料理店で約10年間修業を積み、その後すすきのの料理店など3店舗を統括する料理長として約6年半の経験を持つ。合計16年以上の経験を活かし、「日本料理をもっと手軽に美味しく提供したい」という思いから独立開業に至った経緯がある。

料理の特徴と素材へのこだわり

最大の特徴は全国の旬の食材を厳選しながらも、北海道産食材も積極的に取り入れている点にある。「素材の美味しさや美しさを引き出す」という料理哲学のもと、日本料理の伝統を守りつつ、現代のニーズに合わせた料理を提供。特筆すべきは、札幌では珍しいクエ料理を扱っている点で、クエ鍋コースでは「アラの部分がたっぷり入っている」と評判が高い。また、ふぐコース（11,000円〜19,800円）やすっぽんコース（13,200円）など、高級食材を使用した本格的なコース料理もリーズナブルな価格で楽しめる。

コース料理の構成と価格帯

コース料理は5,500円から27,500円まで幅広い価格帯で提供されており、あらゆるニーズに対応できる構成となっている。最も人気の「おまかせ旬彩コース」（11,000円）は全7品構成で、前菜から始まり、お造り、椀物、焼き物、揚げ物、ご飯物、甘味まで、バランスよく構成されている。「和の至福コース」（16,500円）は2日前までの予約が必要だが、上質な食材を使用した全8品で、接待や記念日に最適。価格と品質のバランスは「素材にこだわった本格的な日本料理としては適正」という評価が大半を占める。

日本酒の品揃えとペアリング

常時10種類以上の日本酒を取り揃えており、料理に合わせた提案も行っている点が高評価につながっている。特に注目すべきは、札幌では入手困難な「十四代」など、プレミアム日本酒も扱っている点。日本酒愛好家にとっては見逃せない魅力となっており、「料理と釣り合うべく日本酒の押さえどころが魅力的」という評価が物語るように、単に希少な銘柄を揃えるだけでなく、料理とのマリアージュを考慮したセレクションが支持されている。

店内の雰囲気と設備

白木を基調とした和モダンな空間は、格式張らない温かみのある雰囲気を演出。カウンター7席では調理の様子を間近で見ることができ、ライブ感のある食事を楽しめる。2023年の移転リニューアルで新設された個室（最大8名）は、接待や記念日、家族での会食など、プライベートな空間を求める客にとって大きな魅力。全15席という小規模な店舗だからこそ、一人一人の客に丁寧な対応ができる環境が整っている。

サービスとホスピタリティ

店主の河原正太氏について「人懐っこそうなキャラクター」「気さくな人柄と小粋なトーク」という評価が多く見られる。料理の腕前だけでなく、接客面でも高い評価を得ていることが分かる。「感謝の気持ちを忘れず、目の前のお客様に喜んでもらえることを第一に考え」という姿勢が、実際のサービスに反映されている。アットホームな雰囲気の中で本格的な日本料理を楽しめる点が、他の高級日本料理店との差別化要因となっている。

立地とアクセスの利便性

すすきの駅から徒歩2分、豊水すすきの駅から徒歩3分という抜群の立地は、仕事帰りの会食や接待、デートなど様々なシーンでの利用を容易にしている。大松ビル2階という分かりやすい場所にあり、初訪問の客でも迷うことなくアクセスできる。ただし、専用駐車場がないため、車での来店時は近隣のコインパーキングを利用する必要がある点は留意すべきだろう。

柔軟な対応と特別なサービス

通常は日曜・祝日が定休日だが、「お祝い事やご法要などでの貸切も相談のうえ対応」という柔軟な姿勢は、顧客のニーズに寄り添う姿勢の表れ。また、季節や仕入れ、客の要望に応じてコース内容を調整するなど、画一的でないサービスも評価されている。2時間半以上の宴会可能、お祝い・サプライズ対応、ドリンク持込可、テイクアウト・デリバリー対応など、多様なサービスを提供している点も見逃せない。

改善点と今後の展望

小学生以下の入店を原則お断りしているため、ファミリー層の利用には制限がある。ただし、定休日の貸切時には対応可能とのことで、完全に閉ざされているわけではない。また、土曜日の予約は3営業日前までという制限があり、週末の急な利用には対応できない点は改善の余地があるかもしれない。しかし、これらの制限も、落ち着いた雰囲気での食事を提供するための配慮と捉えることもできる。

総合的な評価

河はら家は、確かな技術、厳選された素材、温かいホスピタリティ、落ち着いた空間、絶好の立地という5つの要素が高いレベルで融合した日本料理店といえる。開業から4年という比較的新しい店ながら、店主の16年以上の経験と「日本料理をもっと手軽に美味しく」という理念が、札幌すすきのエリアにおいて独自のポジションを確立することに成功している。格式張らない雰囲気の中で本格的な日本料理を楽しめる店として、今後もさらなる発展が期待される。