札幌グランドホテルの伝統を受け継ぐ街の洋食屋

キッチン シュシュ アスティ45店は、札幌グランドホテルで30年以上腕を磨いた前総料理長・小泉哲也氏が2012年11月にオープンした洋食店だ。「ホテルの味をカジュアルに」というコンセプトのもと、一流ホテルのクオリティを手頃な価格で提供することに成功している。以前は市内西区八軒エリアに「カレーキッチンシュシュ」という名店があったが、スタッフの体調を考慮して現在のアスティ45店に一本化された経緯がある。この決断は、品質管理の徹底という点で正解だったといえるだろう。

抜群のアクセスと快適な店内環境

最大の魅力の一つが札幌駅直結という圧倒的な利便性だ。JR札幌駅から徒歩5分、地下鉄さっぽろ駅からは徒歩3分という立地に加え、地下街アピアから直結しているため、雨や雪の日でも濡れることなく来店できる。北海道という気候を考えると、これは極めて重要な要素となっている。店内は24席とコンパクトながら、カウンター席とテーブル席を備え、個室はないもののカーテンで区切ることができる半個室的な空間も用意されている。全席禁煙という点も、現代のニーズに合致した環境だ。

高い評価を受ける日替わりランチ

特に人気が高いのが15食限定の「本日のシェフのおまかせ定食」（税込1,320円）である。えびの唐揚げ、肉厚ハンバーグ、ひじきといった和洋折衷のメニュー構成に、味噌汁とデザートまで付いてくる充実ぶりが支持されている。レビューでは「洋食店らしく白身のフライやグラタンもありながら、豚の角煮やひじきの煮付けもある和洋折衷が妙に嬉しい」という声が見られ、多様な料理が一度に楽しめる点が高く評価されている。グラタンは「洋食店らしく本格的」、角煮は「トロトロ濃厚で絶品」と、それぞれの料理の完成度の高さが伺える。

定番洋食メニューの充実度

日替わり以外のレギュラーメニューも充実している。ハンバーグステーキ（1,200円）、オムライス（1,100円）、カツカレー（1,200円）といった定番洋食が手頃な価格で提供されており、どれもホテル仕込みの確かな味わいとなっている。スパゲッティ類は「太麺モチモチ」という特徴があり、ナポリタン（1,000円）や「和風スパゲッティ グランドホテルスタイル」（1,000円）といったメニューが揃う。ビーフステーキ（1,600円）は「牛脂を加えた牛肉使用」と明記されており、価格を抑えながらもステーキ体験を提供する工夫が見られる。

季節限定メニューと夜の特別コース

10月から3月にかけては、カキフライ（1,200円）やオニオングラタンスープ（1,000円）といった季節限定メニューが登場し、来店の楽しみを増やしている。夜営業では「麺・パスタ食べ飲み放題コース」（2,700円）という独特なコースが用意されており、6種類の麺やパスタとビール・ワイン・ハイボールの飲み放題がセットになっている。このようなコース設定は他店ではあまり見られない独自性がある。さらに予算5,000円以上の「オーダーコース」では、店長と相談しながら内容を決められるという柔軟な対応も魅力的だ。

サービスの質と接客姿勢

レビューで繰り返し言及されているのがスタッフの丁寧な接客だ。「ホールスタッフの丁寧な説明も好印象」「接客が丁寧」という評価が複数見られ、料理の質だけでなくサービス面でも高水準を維持していることが分かる。元ホテル総料理長が直接厨房に立つこともあり、その姿勢が店全体のホスピタリティに良い影響を与えているようだ。「慌ただしい昼休みにもほっとする時間が流れる」という表現からは、単なる食事提供だけでなく、心地よい空間づくりにも成功していることが伺える。

価格設定とコストパフォーマンス

価格設定については「立地を考えるとこのクオリティとボリュームのバランスはとても良い」という評価が代表的である。ランチは1,000円前後、ディナーでも1,000〜2,000円程度という価格帯は、札幌駅直結という一等地にありながら、サラリーマンや学生でも気軽に利用できる水準に設定されている。一流ホテルの味を手頃な価格で提供するというコンセプトが、実際の価格設定にも反映されているといえるだろう。ただし、支払い方法については現金とPayPayのみで、クレジットカードや交通系電子マネーが使えない点は改善の余地がある。

ボリュームと満足度のバランス

料理の量については「全体的な量は少し控えめ」という意見も見られるが、これは必ずしもネガティブな評価ではない。ランチタイムに多くのサラリーマンが利用することを考えると、適度な量で質を重視するという方針は理にかなっている。「量も味も申し分ない」という評価も見られることから、全体としては適切なバランスが取れているといえそうだ。食後にコーヒーを提供するなど、細やかな配慮も満足度向上に寄与している。

利用シーンの多様性

レビューから読み取れる利用シーンは非常に多様だ。「慌ただしい昼休み」のビジネスランチから、じっくりと料理を楽しむディナーまで、幅広いニーズに対応している。20人以下での貸切も可能なため、小規模な宴会や送別会などにも利用できる。子連れもOKという点も、ファミリー層にとっては重要な情報だろう。無料Wi-Fiの提供は、ビジネス利用者にとって便利な設備となっている。

営業時間と利用可能性

営業時間は月〜金がランチ（11:00〜14:00）とディナー（17:00〜21:00）、土曜日はランチのみという設定になっている。日曜・祝日が定休日という点は、ビジネス街での立地を考えると合理的な選択だ。ただし、夜営業については貸切により休業する日もあるため、来店前の確認が推奨される。予約も可能なため、確実に利用したい場合は事前に電話で確認するのが賢明だろう。

総合評価と今後の展望

キッチン シュシュ アスティ45店は、一流ホテルの味をカジュアルに楽しめるという明確なコンセプトのもと、札幌駅直結という最高の立地で、手頃な価格設定により幅広い顧客層から支持を得ている稀有な存在である。元ホテル総料理長による確かな技術、丁寧な接客、清潔で快適な店内環境、そして何より「また来たくなる」雰囲気づくりが、3.4という食べログ評価に表れている。支払い方法の多様化や、土曜夜・日曜の営業拡大といった改善点はあるものの、現状でも十分に満足度の高い店舗として機能しており、札幌駅周辺で洋食を求める際の有力な選択肢の一つといえるだろう。