本場横浜の味を函館で実現

おばら家鍛治店は、横浜家系ラーメンの発祥地である神奈川県で修業を積んだ小原伸哉社長が、2021年5月にオープンした2号店（昭和店に続く）だ。本場で培った技術を基に、豚骨100%スープを4万Kcalの特注バーナーで15時間強火炊きという徹底したこだわりを貫いている。このスープは焦げ付かないよう心を込めて混ぜ続け、旨味だけを抽出することで、ポタージュのような芳醇な風味とガツンとした骨太な旨味を実現。多くの客から「函館で本格的な横浜家系が食べられる」と高評価を獲得している背景には、このような妥協なき製法があるといえよう。

神奈川特注の中太麺へのこだわり

麺も横浜家系の名店が使用する神奈川県の製麺工場に特注している点が特徴的。最高級小麦粉オーストラリア産プライムハードを含む三種類の小麦を独自の配合比率でブレンドし、低加水で練り上げた生地を長時間熟成させることで、モチモチとした弾力のある食感を生み出している。この麺が濃厚スープをしっかりと絡め、一口すすれば芳醇な豚骨スープの味わいが、一口噛めば小麦粉の風味が口いっぱいに広がるという相乗効果を実現。細麺への変更も可能で、客の好みに柔軟に対応している点も評価されている。

カスタマイズ文化の継承

横浜家系ラーメンの大きな特徴であるカスタマイズ文化も忠実に継承。味の濃さ（薄め・普通・濃いめ）、スープの脂の量（少なめ・普通・多め）、麺の硬さ（柔らかめ・普通・硬め）を注文時に指定できるだけでなく、卓上には刻みタマネギ、豆板醤、ニンニク、酢、コショウ、刻みショウガなどの調味料が常備されており、自分だけの究極の一杯を追求できる環境が整っている。レビューでも「最初は何も入れずに味わい、徐々に調味料を加えて味変を楽しむ」という楽しみ方が紹介されており、一杯で何度も違った味を体験できる点が支持を集めている。

鍛治店限定メニューの魅力

昭和店と差別化を図る要素として、鍛治店限定でチャーハンを提供している点が特筆に値する。パラパラに炒められたチャーハンは¥390という手頃な価格ながら、ラーメンとの相性が抜群と評判。特に周年祭などのイベント時には「ラーメン注文でチャーハン10円」という驚異的なサービスも実施されており、これを目当てに訪れる常連客も多い。また、月替わりや季節限定メニューも充実しており、冬限定の担々麺は豚骨100%ベースにゴマとピーナッツのコクが加わった濃厚な味わいで、夏限定の冷麺はコシのある麺とさっぱりしたスープが暑い日にぴったりと好評を博している。

複合施設としての利便性

おばら家鍛治店の大きな特徴は、ラーメン店・唐揚げ専門店・フルーツサンド店の3店舗が同じ建物内で営業している点だ。隣接する「あげ太郎」の塩唐揚げを特別価格で提供するサービスは、ラーメンと唐揚げというゴールデンコンビを手軽に楽しめる機会として人気を集めている。さらに、この立地では函館で唯一のキャンピングカーレンタル事業も展開されており、多角的なサービス展開が話題を呼んでいる。

家族連れへの配慮

子供連れの家族にも優しい店づくりが評価されている。店内には駄菓子コーナーや無料で遊べるゲーム機が設置されており、子供が退屈せずに過ごせる環境が整っている。また、黒烏龍茶が毎日無料で提供されるサービスも、健康志向の客や家族連れから好評を得ている。各席にはアクリルのパーティションが設置され、アルコールスプレーも常備されるなど、衛生面への配慮も行き届いている点が安心感につながっているようだ。

サービス券制度の導入

以前のポイントカード制度に代わり、現在はラーメン1杯につきサービス券1枚を付与するシステムを採用。10枚で830円以下のラーメン、13枚で980円以下のラーメンが1品サービスされ、30枚でゴールドカードと交換できるという明確な特典は、リピーターの来店動機として機能している。有効期限は1年だが、常連客にとっては実質的な値引きとして評価されている。

アクセスの良さと駐車場完備

函館バス「白百合学園前停」から徒歩1分という好立地に加え、店舗横とゲオ函館鍛治店との共用駐車場が用意されている点は、車での来店客にとって大きなメリット。丸亀製麺の向かいという分かりやすい位置関係も、初訪問客のハードルを下げる要因となっている。国道5号線沿いという立地も相まって、ドライブ途中の立ち寄りやすさも評価されている。

価格帯とコストパフォーマンス

基本のラーメンが¥700から、特製ラーメンでも¥980という価格設定は、本格的な横浜家系ラーメンとしては極めてリーズナブルだ。サイドメニューも餃子¥350、チャーハン¥390と手頃な価格帯で、ラーメンとセットで注文しても1000円前後で満足度の高い食事ができる点が、幅広い層から支持される理由となっている。特に学生や若年層からは「安くて美味しい」というコストパフォーマンスの高さが評価されている。

営業時間と利便性

11:00〜22:00（L.O. 21:45）という営業時間は、ランチタイムから夜遅めの時間帯まで対応しており、様々なライフスタイルの客に対応可能。不定休という営業形態も、急な来店にも対応しやすい体制といえる。ただし、人気店ゆえに混雑時には待ち時間が発生することもあるため、時間に余裕を持った来店が推奨される。

改善点と今後の期待

全体的に高評価を獲得している一方、一部のレビューでは「期待していた本場の家系とは少し違う」「塩味が強い」といった声も見られる。ただし、これは個人の好みによる部分が大きく、多くの客は「函館で食べられる本格派家系」として満足している様子。券売機での注文方式は効率的だが、初訪問客には少し戸惑う面もあるため、より分かりやすいメニュー表示の工夫があれば、さらに利用しやすくなるだろう。

総合評価

総合的に見ると、おばら家鍛治店は本場横浜で修業した技術、こだわり抜いた素材と製法、リーズナブルな価格設定、家族連れにも優しい環境、便利な立地とアクセスという5つの強みを兼ね備えた店舗として、函館のラーメンシーンに確固たる地位を築いている。2021年のオープンから着実にファンを増やし続けており、今後も函館における横浜家系ラーメンの代表格として、さらなる発展が期待される店舗といえるだろう。