地元に愛される町中華の魅力

龍門（ラーメンハウス龍門）は、函館市花園町に位置する昔ながらの町中華レストランだ。「ラーメンハウス」という看板を掲げるものの、その実態は中華料理全般を手がける多彩なメニュー構成を持つ、地元民に深く愛される名店である。最大の特徴は女性店主によるワンオペ営業という点。一人で切り盛りしているため提供時間に余裕を持つ必要があるが、その分一つ一つの料理に丁寧な手仕事が光る。

看板メニュー・五目あんかけ焼きそばの絶品ぶり

数あるメニューの中でも特に評価が高いのが五目あんかけ焼きそば（¥800）という一品。具沢山で深みのある味わいが特徴的で、「意外に美味しかった」という予想を超える美味しさに出会えるメニューとして知られている。焼き目のついた麺は香ばしく、塩ベースのあんは野菜の旨味をしっかりと引き出しながらも後味すっきりとした仕上がり。五目麺好きにはたまらない一品だろう。

チャーハンこそ真骨頂

しかし、龍門の真の魅力は何といってもチャーハン（炒飯）にある。「ラーメン屋のチャーハンはハズレなし」という格言を地で行く仕上がりで、某ブログでも絶賛されているという。程よくしっとりしたタイプで、パラパラ過ぎないしっとり感が絶妙なバランスを生み出している。さらに上位版としてカニ炒飯も用意されており、ふんわりとしたカニが炒飯の上にのる贅沢な一品となっている。「人生最後の晩餐はここと決めている」という熱狂的なファンがいるほど、その味わいは地元民の心を掴んで離さない。

函館塩ラーメンの基本形を体現

ラーメンに関しては、函館塩ラーメンの基本形を忠実に再現した一杯が提供される。あっさりとしたスープは万人受けする味わいで、「函館で一番美味しい塩ラーメン」と評する常連客もいるほど。味噌ラーメンについても「完成度が高い」という評価が寄せられており、ラーメンハウスの名に恥じない品質を維持している。ただし麺が柔らかめという特徴があり、硬めの麺を好む客には物足りなく感じられる可能性もあるが、これは好みの問題だろう。

手作り餃子の魅力

手作り餃子も見逃せない一品。1つ1つ手間を惜しまず作られる餃子は、香ばしい焦げ目の皮に具の旨みを閉じ込めた仕上がりとなっている。具にはシャキシャキの野菜がたっぷりと入っており、肉汁との絶妙なバランスが食欲をそそる。大きめサイズの餃子は食べ応えも十分で、餃子セット（¥880）としてラーメンと組み合わせて楽しむ客も多い。

セットメニューのコストパフォーマンス

龍門の大きな魅力の一つがセットメニューの充実ぶりだ。炒飯セット（¥880）、中華飯セット（¥950）、餃子セット（¥880）といった組み合わせが用意されており、いずれもボリューム満点でありながら¥1,000以下という価格設定。「十分な量でお得」という声が多く、コストパフォーマンスの高さが地元民に支持される理由の一つとなっている。

中華飯の奥深い味わい

中華飯（八宝菜風のあんかけご飯）も隠れた人気メニュー。こってりとした味付けながら野菜たっぷりで、食後もすっきりしているのに腹持ちが良いという絶妙なバランスを実現している。中華飯セットとして醤油ラーメンと組み合わせれば、満足度の高い食事体験が待っている。

隠れメニュー・オムライスの存在

意外な隠れメニューとしてオムライスの存在も確認されている。混んでいない時にお願いすれば作ってもらえるという、常連客だけが知る特別メニューだ。こうした柔軟な対応も、ワンオペならではの個人店の魅力といえるだろう。

店舗の雰囲気と設備

店内はいかにも地元のラーメン屋さんといった雰囲気で、メニューは壁に貼られている昔ながらのスタイル。全席禁煙で清潔感があり、カウンター席とテーブル席を備えている。駐車場は店前に3台程度確保されており、車でのアクセスも可能。ただし最寄り駅からは徒歩15分程度と距離があるため、地元民が車で訪れることが多い店舗だといえる。

営業形態の特徴

営業日は平日（火〜金）のみという変則的なスケジュール。月曜日・土曜日・日曜日・祝日が定休日となっており、「暖簾が下がっていたらラッキー」という声もあるほど。ランチタイム（11:00〜15:00）とディナータイム（17:00〜20:00）の二部制で営業しており、ワンオペのため混雑時は待ち時間が発生することもある。しかしその待ち時間も「それも味のうち」と受け入れる常連客の姿勢に、店への愛着が感じられる。

テイクアウト対応

コロナ禍以降、テイクアウトにも対応しており、チャーハンや餃子を持ち帰って自宅で楽しむことも可能。「某ブログで絶賛されていたチャーハンをテイクアウトした」という利用例もあり、店内飲食だけでなく持ち帰りでも人気を博している。

価格帯とコストパフォーマンス

予算は〜¥999と非常にリーズナブル。五目あんかけ焼きそばが¥800、各種セットメニューが¥880〜¥950という価格設定は、2025年の物価環境を考えると驚異的なコストパフォーマンスといえる。「セットメニューは十分な量なのでお得」という評価が多く、質と量と価格のバランスが取れた良心的な価格設定が支持されている。

地元密着型の営業スタイル

龍門の最大の特徴は、地元密着型の営業スタイルにある。観光客向けというよりは地元民がふらっと立ち寄る「街中華」「街ラーメン」としての位置づけで、常連客からは「人生最後の晩餐はここ」とまで言われる存在だ。12年ぶりに訪れても変わらぬ味を提供し続ける姿勢に、長年愛される理由が凝縮されている。

サービス面での評価

ワンオペ営業という性質上、提供時間に余裕を持つ必要がある点は理解が必要。特に開店直後や混雑時は待ち時間が発生することもあるが、「それも含めて店の味わい」と受け入れる客が多い。女性店主による丁寧な仕事ぶりは、料理の味に確実に反映されており、サービスの速度よりも料理の質を重視する姿勢が評価されている。

メニューの変遷

「12年前と比べてメニューがかなり減っていた」という指摘もあり、時代とともにメニュー構成を絞り込んできた様子が伺える。しかしこれは選択と集中の結果であり、残されたメニューはいずれも高い完成度を誇っている。白菜キムチとチャーハンの組み合わせなど、次に試したいメニューも豊富に残されており、リピート訪問の動機となっている。

評価の多様性

食べログで3.07〜3.09点、エキテンで3.23点、Yahoo!マップで4.6点という評価のばらつきが見られるが、これは評価プラットフォームの違いと評価者層の違いによるもの。地元民が集まるYahoo!マップでの高評価（4.6点）こそが、真の実力を示していると考えられる。観光客よりも地元民に愛される店という性質が、評価の違いに表れているのだろう。

総合評価

龍門（ラーメンハウス龍門）は、派手さはないが確実に美味しい料理、驚異的なコストパフォーマンス、地元民に愛され続ける理由の全てを備えた町中華の名店といえる。観光客が押し寄せる有名店ではなく、地元民が日常的に通う「いつもの店」として機能している点こそが最大の魅力。ワンオペという制約を逆手に取り、丁寧な仕事で一つ一つの料理に向き合う姿勢は、大手チェーンでは決して味わえない個人店ならではの価値を提供している。函館を訪れる機会があれば、観光地巡りの合間に立ち寄ってみる価値は十分にあるだろう。