SAMA北海道神宮前店は、2004年開業以来20年以上にわたり札幌円山エリアで愛され続けている、スープカレー界の老舗的存在だ。最大の魅力は「ドロドロ系」と評される独特のテクスチャーを持つスープで、一般的なサラサラ系とは一線を画している。辛さを増すごとにとろみが増していくという特徴があり、濃厚なスープを好む人には最適な選択肢となる。

スープの多様性と完成度

特筆すべきは、ココナッツスープの完成度の高さ。20年来の常連客が「変わらぬ美味しさ」と絶賛するこのスープは、まろやかでクリーミーな口当たりとスパイスの絶妙なバランスが特徴。トマトスープは玉ねぎとトマトの優しい風味で、辛さ控えめを好む人に人気。新メニューの豆乳えびスープは、えびの風味とまろやかさが融合した独創的な一品として好評を博している。

看板メニューの魅力と現状

看板メニューのチキンレッグは、骨まで柔らかくなるまで煮込まれた逸品で「ほろほろで美味しい」と高評価を獲得していた。現在は鳥インフルエンザの影響で提供休止中だが、食の安全を最優先する姿勢は評価に値する。代替として骨なしチキンや豚角煮、ひき肉などが用意されており、品質を維持している点も見逃せない。

トッピングの工夫と健康志向

キヌアご飯（+180円）は健康志向の客から支持を集めており、白米との相性も抜群。野菜トッピングは、なすがスープをよく吸って美味しく、じゃがいものホクホク感、きゃべつのシャキシャキ感、大根への出汁の染み込みなど、それぞれの食材が持ち味を発揮する調理法が施されている。

価格設定とコストパフォーマンス

基本のチキンカリーが1,500円で、トッピングやスープ変更を加えると2,000〜2,500円程度になるのが一般的。ボリュームも「ずっしりと重みがあって食べ応えがある」と評価されており、価格に見合った満足感を提供している。「20年通っても飽きない味」という常連客の声が、その価値を物語っている。

雰囲気と利便性

インドネシア風のくつろぎ空間として設計された店内は、18席と小規模ながら落ち着いて食事ができる環境を提供。カウンター席もあるため一人客も歓迎され、北海道神宮や円山エリアの観光帰りに立ち寄れる立地も魅力的だ。西28丁目駅から徒歩約12分とやや距離はあるが、駐車場3台分があるため車でのアクセスも可能。

企業としての展開力

「スープカレーを日本の食文化に」という理念のもと、札幌市内に複数店舗を展開し、さらには東京（明治神宮前店）や福岡、海外にまで進出。チェーン店でありながら各店舗が地域に根ざした営業を行い、レトルト商品の販売やデリバリーサービスにも対応するなど、多角的な事業展開を実現している。

総括

SAMA北海道神宮前店は、20年以上の歴史に裏打ちされた味の安定性と、独自のドロドロ系スープという明確な差別化要素を持つ店舗だ。予約不可や駅からの距離といった不便さはあるものの、それを補って余りある味の良さと落ち着いた雰囲気が魅力。特にココナッツスープの愛好家や、濃厚なスープカレーを求める人には、訪れる価値が十分にある一店といえるだろう。常連客の存在が証明する「変わらぬ美味しさ」こそが、この店の最大の強みであり続けている。