元ミシュラン一つ星の実力を持つ、奥尻島の恵みを存分に味わえる本格日本料理店

「和田」は、奥尻島出身の和田勇人氏が故郷への思いを込めて提供する本格的な日本料理店だ。2017年にミシュラン一つ星を獲得した「TAKU円山」から2024年2月に店名を変更したが、その料理の質は以前にも増して磨きがかかっている。店のロゴにあしらわれた奥尻島の鍋釣岩が象徴するように、店主の故郷への深い愛情が料理一品一品に表現されているのが特徴だ。

料理の真髄は食材へのこだわりと職人技

最大の魅力は、奥尻島を中心とした北海道産の希少な食材を使用した日本料理にある。特に夏季限定の奥尻島産ウニは、7月中旬から8月初めまでの限られた期間のみ味わえる逸品として多くのリピーターを生んでおり、「年に一度の楽しみ」として毎年訪れる常連客も多い。道南の真鯛、利尻島のホヤ、厚岸のあさり、北寄貝など、北海道各地から厳選された魚介類に加え、タラの芽、ふき、のびる、うるいといった旬の山菜も積極的に取り入れることで、四季折々の北海道の恵みを表現している。

素材を活かす丁寧な仕事と季節感

和田氏の料理は「お出汁と素材そのものの味を活かす」ことを信条としており、食材本来の味を最大限に引き出す技術が光る。「上品な味付けで飽きることなく食べることができた」という評価が示すように、繊細でありながら深い味わいを実現している点が評価されている。カウンター席では和田氏と会話を楽しみながら料理を味わえる特別な体験も魅力で、「柔やかに穏やかに包み込むような人柄」が料理をさらに引き立てているといえるだろう。

価格設定とコストパフォーマンス

ディナーの予算は¥15,000〜¥19,999と高めの設定だが、使用される食材の質と料理の完成度を考慮すると、多くの食通が「妥当」または「価値がある」と評価している。奥尻島産のウニや鮑など、他では味わえない希少な食材を使用したコースであることを考えれば、むしろリーズナブルともいえる価格設定である。ただし、気軽に頻繁に通うには少々負担が大きいため、特別な日の会食や接待での利用が主な用途となるだろう。

隠れ家的な雰囲気と利便性

円山公園駅から徒歩3分という好立地にありながら、カウンター約8席という小規模な店舗は隠れ家的な雰囲気を醸し出している。完全禁煙で、個室も用意されているため、デートから商談まで幅広いシーンで利用可能だ。「設えも客層も落ち着く空間」という評価が示すように、大人の食事の場として最適な環境が整っている。

予約と訪問時の注意点

電話予約のみの受付で、1ヶ月前から3営業日前までの予約が可能だが、人気店のため特に週末や季節の食材が楽しめる時期は早めの予約が必須となる。定休日は水曜日で、木曜日はランチタイムが休業となっているため、訪問計画には注意が必要だ。また、専用駐車場がないため、車での訪問を検討している場合は近隣のコインパーキングの利用を前提に計画を立てるべきだろう。

結論：北海道の真髄を味わう特別な一軒

「和田」は単なる日本料理店ではなく、北海道の食文化と和田氏の料理哲学が融合した特別な場所である。ミシュラン一つ星の実力を持ちながら、親しみやすい雰囲気と誠実な接客で、美食家から特別な日の利用まで、幅広い客層に支持されている理由がここにある。奥尻島を中心とした北海道産の希少な食材を使用し、素材本来の味を活かした丁寧な調理は、訪れるたびに新しい発見と感動をもたらしてくれるだろう。価格帯は高めだが、その価値は十分にあり、北海道の恵みを存分に味わえる貴重な機会を提供している。札幌を訪れる際、本物の日本料理を求めるなら、絶対に訪れるべき一店といえよう。