独自評価スコア：4.0/5.0

「食と酒 ゆずまる。」は2019年4月にオープンした比較的新しい店舗でありながら、すでにすすきのエリアで確固たる地位を築いている。食べログ評価3.42という数値以上の価値を持つ隠れ家的存在として、リピーターから熱い支持を集めているのが特徴だ。この独自評価4.0は、実際の顧客体験と店舗の独自性を総合的に判断した結果である。

店主・上杉穣氏の経歴が生む独創性

店主の上杉穣氏は1977年札幌生まれ。7年間のイタリアン経験を含む多ジャンルでの修業が、この店の最大の強みとなっている。アヒージョなどのイタリアン要素を和食居酒屋に融合させた独自メニューは、他店では味わえない創作性を実現。この多様性が、幅広い客層からの支持につながっている。

食材調達へのこだわりが差別化要因に

全国各地から毎日厳選仕入れされる海鮮の質は、多くのレビュアーが絶賛するポイント。「冷凍品を使用していない」「鮮度が抜群」という声が多数を占め、特にサーモンの評価が高い。日本酒については店主自らが買い付けに行くというこだわりぶりで、すすきのでも珍しい銘柄を常時ラインナップ。季節ごとの入れ替えにより、リピート客も飽きない工夫が施されている。

カウンター10席という規模が生む親密性

あえて小規模に留めたカウンター10席のみという設計は、大型店では実現不可能な価値を創出。対面カウンターによる料理人との距離感、目の前で見られる調理過程、気軽な会話が楽しめる環境。これらが相まって「つい立ち寄ってしまう」「温かみがある」という評価につながっている。

価格設定の妥当性と早得サービスの魅力

平均予算3,000円〜3,999円は、すすきのエリアにおいて中価格帯に位置する。しかし19時までの来店で刺身3点盛りが500円という破格のサービスは、早い時間の集客に成功。通常価格でも「本日のゆずまる盛り」1,380円、「ちょこっと盛り」480円など、量と価格のバリエーションが豊富で、一人飲みから小グループまで柔軟に対応できる価格構成となっている。

備長炭使用の串焼きが持つ付加価値

備長炭でじっくり焼き上げる串焼きは、この店のもう一つの看板メニュー。知床鶏、地養豚、牛さがり、ラム山わさびなど、北海道らしい食材を250円からという手頃な価格で提供。「肉の旨味がじゅわっと溢れ出す」「1本からでも注文可能」という利便性も、一人客から好評を博している理由だ。

深夜営業と立地の相乗効果

すすきの駅から徒歩1分（130m）という立地と、深夜3時まで営業という営業時間の組み合わせは、まさに繁華街すすきのにおける理想的な形態。二次会需要、締めの一杯、深夜の食事など、様々なニーズに対応可能。N・グランデビル4階という場所も、騒々しさから離れた落ち着いた空間を提供している。

ホスピタリティが生む高いリピート率

「帰る時もお店の外までお見送り」という細やかな心配りは、現代の飲食業界では希少な存在。スタッフとの会話を楽しみながら、料理ができるまでの時間も楽しめるという対面カウンターの利点を最大限活用。アットホームな雰囲気作りに成功し、「また訪れたい」という気持ちを自然に醸成している。

キャッシュレス対応の充実度

現金はもちろん、各種クレジットカード（VISA、Master、JCB、AMEX、Diners）に加え、PayPay、d払い、楽天ペイ、au PAYといった主要QRコード決済に対応。観光客や若年層にも利用しやすい環境を整備している点は、時代のニーズを的確に捉えている証左だ。

改善の余地と今後の展望

全席喫煙可という環境は、愛煙家には歓迎されるが、非喫煙者にとってはマイナス要因となり得る。日曜定休も週末観光客には不便な面がある。また、10席という規模から予約なしでは入店困難な場合も想定される。しかしこれらの「制約」が、逆に店の個性として機能している側面もあり、一概にデメリットとは言い切れない部分もある。

すすきのに咲く小さな名店

「食と酒 ゆずまる。」は、大型チェーン店が乱立するすすきのにおいて、「小ささ」を武器に変えた成功例といえる。新鮮な食材、独創的なメニュー、温かいおもてなし、そして店主の個性が融合し、唯一無二の空間を創出。食べログ評価3.42を上回る実力を持つこの店は、すすきのを訪れる際にぜひ立ち寄るべき一軒として、自信を持って推薦できる存在だ。